「今度こそダイエットを続けよう」
「毎朝筋トレをしてから出社しよう」
「TOEICのために毎日1時間勉強する」
そう決意したのに、気づけば3日後、いや翌日には元の生活に戻っていた。そんな経験はないでしょうか。
私自身、何度も習慣化に失敗してきました。
たとえば、掃除です。
「毎日10分だけ掃除をしよう」
そう決めても、数日後にはやらなくなる。
そのたびに「自分は意志が弱いんだ」と落ち込んでいました。
ところが、脳科学や行動科学について調べていくうちに、あることがわかりました。
三日坊主は、意志が弱いから起こるのではありません。習慣になる前に脳が疲れてしまうことで起こります。
この記事では、脳科学の視点から「なぜ習慣が続かないのか」をわかりやすく解説します。
そして最後に、脳の仕組みを味方につけて習慣を定着させる3つのステップも紹介します。
この記事を読むとわかること
- 三日坊主が起きる脳科学的な理由
- 習慣が定着する「報酬ループ」の仕組み
- 今日から実践できる習慣化の3ステップ
三日坊主は「意志の問題」ではない
まず、大事なことをお伝えします。
習慣が続かないのは、あなたの性格や気合の問題ではありません。
多くの人は、意志が弱いのではなく、まだ習慣になっていない段階でやめてしまっているだけです。
実際、ロンドン大学のフィリッパ・ラリー博士らの研究では、新しい習慣が自動化されるまで平均66日かかったと報告されています。
3日どころか、2か月以上です。
つまり、三日坊主になるのはある意味自然なことなのです。
「続かない=意志が弱い」という考えは、今日で手放してください。
続かない本当の理由は、脳の仕組みにあります。
脳が「新しい習慣」を嫌がる理由
人間の脳には、習慣化に深く関わる2つの仕組みがあります。
前頭前野(ぜんとうぜんや)とは?
前頭前野(ぜんとうぜんや)は、簡単に言うと「考えて判断する脳」です。
計画を立てたり、新しいことを始めたり、意志の力で行動したりするときに使われます。
ただし、前頭前野(ぜんとうぜんや)には大きな弱点があります。
それは、非常に疲れやすいことです。
新しい習慣を始めたばかりの脳は、前頭前野(ぜんとうぜんや)、つまり「考えて判断する脳」を使って意識的に行動しています。だから最初は疲れやすいのです。
基底核(きていかく)とは?
基底核(きていかく)は、簡単に言うと「行動を自動化する脳」です。
歯磨き、自転車の運転、靴ひもを結ぶ動作など、繰り返し行った行動を無意識で処理します。
習慣化とは、この基底核(きていかく)、つまり「行動を自動化する脳」に行動を覚えてもらうことです。
習慣化とは、頑張って行動する状態から、考えなくても動ける状態へ移していくことです。
新しい習慣を始めたばかりのときは、前頭前野(ぜんとうぜんや)がフル稼働します。
「今日はやろう」
「面倒だけど頑張ろう」
と意識しながら行動するため、多くのエネルギーを消費します。
しかし数日経つと、脳は疲れてしまいます。
そして、
「今日はいいか」
「また明日やろう」
となるのです。
これが三日坊主の正体です。
ドーパミンと「報酬ループ」の仕組み
習慣化を語るうえで欠かせないのが「ドーパミン」です。
ドーパミンとは、簡単に言うと「またやりたい」という気持ちに関わる脳内物質です。
「快楽ホルモン」と呼ばれることもありますが、実際には「行動したくなる気持ち」に深く関係する神経伝達物質です。
神経伝達物質とは、脳の中で情報を伝えるための物質のことです。
脳が
「またやりたい」
「続けたい」
と感じるときに、ドーパミンが働いています。
また、何かを達成した瞬間だけでなく、
「もうすぐ良いことがありそうだ」
と期待しているときにも分泌されることがわかっています。
習慣が続く人は、行動のあとに小さな報酬を用意し、「またやりたい」と思える流れを作っています。
習慣が定着している人の脳では、次のような流れができています。
きっかけ → 行動 → 報酬 → またやりたくなる
例えば、毎朝ジョギングを続けている人は、
- 走り終わった後の爽快感
- お気に入りの音楽
- コーヒーを飲む時間
などを報酬として受け取っています。
脳が「またやろう」と感じる仕組みができているのです。
逆に三日坊主になる人は、この報酬設計が不足していることが少なくありません。
「頑張らなければ」
だけで動こうとすると、脳がその行動に魅力を感じにくくなります。
その結果、続ける理由を見つけられなくなってしまうのです。
脳科学にもとづく習慣化の3ステップ
では、どうすれば習慣を定着させられるのでしょうか。
習慣化の基本は、小さく始める・今ある習慣にくっつける・すぐに報酬を用意することです。
脳の仕組みを味方につける3つのステップを紹介します。
ステップ1:小さすぎるくらい小さく始める
新しい習慣は、驚くほど小さく始めるのがコツです。
例えば、
- 毎日30分読書する
- 毎日筋トレする
ではなく、
- 本を1ページ読む
- 腕立て伏せを1回する
から始めます。
最初の行動は、小さすぎるくらいで十分です。脳に「これならできる」と思わせることが大切です。
小さな行動は、前頭前野(ぜんとうぜんや)、つまり「考えて判断する脳」への負担が少なくなります。
そのため、脳が抵抗しにくくなります。
そして毎日続けることで、少しずつ基底核(きていかく)、つまり「行動を自動化する脳」へ処理が移っていきます。
ステップ2:今ある習慣にくっつける
新しい習慣は、すでに毎日やっている行動の前後に置くと定着しやすくなります。
これは「習慣スタッキング」と呼ばれる方法です。
習慣スタッキングとは、すでにある習慣に新しい行動をくっつける方法です。
例えば、
- 朝コーヒーを飲んだ後に本を1ページ読む
- 歯を磨いた後にストレッチを1分する
などです。
新しい習慣は、ゼロから始めるより、すでにある習慣にくっつけた方が続きやすくなります。
新しいきっかけを作るよりも、既存の習慣を利用した方が脳の負担は小さくなります。
ステップ3:小さな報酬を用意する
行動の直後に、ちょっと嬉しいことを用意しましょう。
例えば、
- 好きな音楽を聴く
- 手帳にシールを貼る
- アプリで記録する
- プロテインを飲む
などです。
行動の直後に小さな報酬があると、脳はその行動を「またやりたいこと」として覚えやすくなります。
脳は遠い未来の報酬より、すぐ手に入る報酬に強く反応します。
「3か月後に痩せる」よりも、
「今日運動したからお気に入りのプロテインを飲める」
の方が習慣化には効果的なのです。
私が実際に試してわかったこと
私はこの仕組みを知ってから、掃除の続け方を変えてみました。
最初は、
「毎日10分掃除する」
と決めました。
しかし、あっさり挫折しました。
そこで発想を変えました。
- 洗濯機を回したらお風呂掃除をする
- コーヒーを入れている間に床掃除をする
という形にしたのです。
すると、気づけば3か月以上続いていました。
習慣化できたのは、意志が強くなったからではありません。脳の仕組みに合わせて行動を小さく設計したからです。
習慣化の成功は、気合や根性だけで決まるものではありません。
続けやすい形に整えたから続いたのだと感じています。
まとめ
この記事のポイントを3つにまとめます。
- 三日坊主は意志の問題ではなく、脳の仕組みの問題である
- 習慣化とは、前頭前野(ぜんとうぜんや)から基底核(きていかく)へ処理を移していくプロセスである
- 小さく始める、既存の習慣にくっつける、報酬を設計することで習慣は続きやすくなる
続けるために必要なのは、強い意志ではなく、脳が続けやすい仕組みです。
今日からできることを一つだけ挙げるなら、
「今やっている習慣の直後に、新しい行動を1つ、小さく追加する」
ことです。
歯磨きの後に腕立て伏せを1回。
朝食の後に本を1ページ。
それだけで十分です。
脳は変えられます。
あとは仕組みの問題です。
参考書籍
今回紹介した
- 小さく始める
- 習慣をくっつける
- 報酬を設計する
という考え方は、ジェームズ・クリアー著『アトミック・ハビッツ』で紹介されている習慣形成の原則を参考にしています。
習慣化についてさらに深く学びたい方にはおすすめの一冊です。
※この記事は脳科学や行動科学に関する研究や書籍を参考に執筆していますが、医療上の診断や治療を目的としたものではありません。